「夜中に突然、わき腹に刺すような激痛が走った」
「痛みで冷や汗が出て、じっとしていられない」
それは尿路結石(にょうろけっせき)かもしれません。
尿路結石は、日本人男性の約7人に1人、女性の約15人に1人が一生のうちに一度は経験するといわれる、とても身近な病気です。「人生で経験する痛みの中で最も強い部類」といわれることもあり、救急外来を受診するきっかけとして非常に多い病気でもあります。
この記事では、泌尿器科医の視点から、尿路結石の症状・受診の目安・治療、そして半分近くの人が再発するこの病気と付き合ううえで大切な予防のコツを、できるだけわかりやすく解説します。
※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。個別の診断・治療については医療機関を受診してください。
尿路結石とは?どこに石ができるの?
尿路結石は、尿の通り道(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に石ができる病気です。石がある場所によって呼び方が変わります。
- 腎結石:腎臓の中にある間は、実は無症状のことがほとんど
- 尿管結石:石が尿管に落ちて詰まると、あの「激痛」が起きる
- 膀胱結石・尿道結石:頻尿や排尿時の痛み、尿が途切れるなどの症状
つまり「石がある」こと自体より、「石が動いて詰まる」ことが痛みの正体です。
症状セルフチェック
次のような症状はありませんか?
- わき腹〜背中の突然の激痛(波のように強くなったり弱くなったりする)
- 痛みが下腹部や足の付け根、(男性では)陰嚢のほうへ移動する
- 血尿が出た(目で見てわかる赤い尿、または健診で指摘された)
- 吐き気・嘔吐を伴う
- 冷や汗が出て、じっとしていられない
- 頻尿・残尿感(石が膀胱の近くまで下りてきたサイン)
尿管結石の痛みは「疝痛(せんつう)発作」と呼ばれ、じっと横になっていても楽にならず、のたうち回るほどの痛みになるのが特徴です。
すぐ受診すべき「危険なサイン」
尿路結石の多くは命に関わりませんが、次の場合はその日のうちに(夜間でも)受診してください。
- 38℃以上の発熱+わき腹の痛み → 結石に感染を合併した「結石性腎盂腎炎」の可能性。放置すると命に関わる敗血症に進行することがあります
- 痛み止めを飲んでも痛みがまったく引かない
- 嘔吐が続いて水分がとれない
- 腎臓がひとつしかない方、腎機能が悪いと言われている方の結石発作
特に「結石+発熱」は泌尿器科の緊急事態です。我慢せず救急外来へ。
病院ではどんな検査・治療をするの?
検査
- 尿検査:血尿の有無を確認
- 超音波(エコー)検査:腎臓の腫れ(水腎症)や石を確認
- CT検査:結石の診断に最も確実。石の大きさ・場所がわかります
治療は「石の大きさ」で決まる
- 5mm以下:多くは自然に排石が期待できます。水分をしっかりとり、痛み止めと排石を助ける薬で経過をみます
- 10mm以上、または1ヶ月以上出てこない場合:体外から衝撃波で石を砕くESWL(体外衝撃波結石破砕術)や、細い内視鏡でレーザーを使って砕くTUL(経尿道的尿管結石術)などの治療を検討します
痛み発作そのものには、坐薬などの鎮痛薬(NSAIDs)がよく効きます。
尿路結石は「再発する病気」——予防が本番
実は、尿路結石は5年以内に約半数が再発するといわれています。石が出て終わり、ではなく、そこからが本番です。
今日からできる再発予防
- 水分をしっかりとる:1日の尿量が2L以上になるのが目標(食事以外に約2Lの飲水)。特に就寝前・入浴後・運動後に
- シュウ酸のとりすぎに注意:ほうれん草、コーヒー、紅茶、チョコレートなど。完全に避ける必要はなく、カルシウム(牛乳など)と一緒にとると吸収が抑えられます
- 塩分・動物性タンパク質のとりすぎを控える
- 夕食から就寝までは2時間以上あける:寝ている間は尿が濃くなり、石ができやすい時間帯です
- カルシウムは減らさない:「結石=カルシウムのとりすぎ」は誤解で、極端なカルシウム制限はむしろ逆効果です
よくある質問
Q. 石は自然に出ますか?
A. 5mm以下の石なら、多くの場合は数日〜数週間で自然に出ます。ただし1ヶ月以上出ない場合や、腎臓の腫れが強い場合は治療を検討しますので、痛みが消えても必ず経過観察の受診をしてください。
Q. 痛みが消えたのですが、治ったのでしょうか?
A. 要注意です。石が詰まったままでも、体が慣れて痛みが引くことがあります。そのまま放置すると腎臓の機能が落ちてしまうことがあるため、「痛みが消えた=石が出た」ではありません。排石を確認するまで通院を続けてください。
Q. ビールを飲むと石が出やすいと聞きました
A. おすすめしません。ビールには利尿作用がありますが、シュウ酸やプリン体を含み、脱水にもなりやすいため、長期的にはむしろ結石のリスクを上げます。水や麦茶で水分をとりましょう。
Q. 血尿が出ましたが痛みはありません。結石でしょうか?
A. 痛みのない血尿は、結石よりも膀胱がんなど別の病気のサインであることがあり、むしろ注意が必要です。詳しくは痛くない血尿の記事をご覧ください。
まとめ
- わき腹〜背中の突然の激痛+血尿は尿路結石が疑わしい
- 発熱を伴う場合は緊急。夜間でも受診を
- 5mm以下なら自然排石が期待できるが、痛みが消えても「出た」とは限らない
- 5年で約半数が再発。1日尿量2Lを目標にした飲水が最大の予防
あの激痛は、経験した人にしかわからないつらさです。二度と繰り返さないためにも、水分補給と生活習慣の見直しから始めてみてください。

コメント